2008.11.27
「ザ・イロモネア」
お笑い芸人たちがネタバトルをする。ランダムに選ばれた一般客が、芸を見て3人以上笑えば次に進める。すごいのは、ネタを始める前に勝利のベルが鳴る時がある。その時の笑いはネタの良し悪しではない。今まで積み重ねてきた芸人のイメージが、ネタを披露する前に視聴者の中で一気に爆発してしまうのだろう。
すごい期待感!!!来年の私の目標のひとつに講演者になることがある。しゃべる前に聴衆の心をとらえれれば最高だ。
2008.10.19
組合員企業の創立10周年式典に参加した。
研修生の一グループも参加して日本語が堪能なので会場をあっと言わせた。してやったりという気持ちと同時によく準備された企業様に敬意を表したい。
たまたまこのイベントの前に二つのセイミナーにも参加した。ともに中小企業の将来に重要なポイントがあった。ひとつは鍛練の鍛は3年、鍛練の練は30年励めと、一方はM&Aが主題でその買い手の利点は時間を買うことであると。どちらも名物講師のセミナーで一見相反するような事柄だがそれぞれ力があった。
しかしやっぱりセミナーより実体験にインパクトがある。式典の中で来賓の一人ひとりに対する社長の最敬礼と閉会の辞の常務さんの苦労話が最も心に残っている週末だった。
2008.9.3
出張中の楽しみの一つに早朝のジョギングがある。先週、青島を訪れたときもホテルの近くの海辺をジョギングした。
天気も景色も最高である。およそ30分ほどで終わって歩いていると、眼下の浜辺にひとりの老人を見つけた。2本の長尺棒を両手に持ち、砂の上に漢字を書いている。
よく見ると、すでにかなり前から書き始めたであろうと思われるほどたくさんの文字が横に連なっている。達筆である。流れるようである。一列だけでなく、数列ある。最初に書いた列は、波打ち際ですでに波に半分さらわれている。
黙々と書いている。楽しんでいるふうに見える。以前、ハルピンでコンクリートの上に水を含ませた棒で書いているのを見たことがある。改めて、中国では書が人々に深く根付いているように思った。
2008.8.14
ある会社の第一陣12名が無事帰国した。その2日前に修了式を行った。
一人一人に修了証書を手渡すとき、大きな声で力強く、「おめでとう。!よくがんばりました。!すばらしい。!」と言ってぎゅっと握手をしたら、彼女たちの口元が綻んでいた。
それを見て入国のときのことを懐かしく思い出した。初々しい笑顔と純粋な目の輝き。
3年間いろいろのことがあったし、容姿もずいぶん変わって美しくなった。日本語も技術も上達した。でもちょっと寂しかった。笑顔が少なくなったのが。でもしっかり持っていたんだなあ。規律は厳しく指導したつもりだが、私自身の笑顔が少なくなっていたのかもしれない。
修了式の後、一人の研修生に一緒に写真撮ってもらっていいですかと言われた。それを見て他の研修生たちからも頼まれた。うれしかった。ずいぶん励まされた。
この時はたくさんの笑顔がそこにあった。
2008.7.8
ハルピンに行ったときに聞いて感動した話がある。
ハルピンの北方280kmほどのところにチチハルという都市がある。このチチハルの近郊には大湿原が広がっていて、そこには丹頂鶴が生息している。この丹頂鶴が海を渡ってはるか東方、北海道の釧路湿原に飛来するという。
しかし、この丹頂鶴が飛んでいる姿を見る人は少ない。なぜなら丹頂鶴ははるか1000mの上空を飛んで来るというのだ。
昨日より洞爺湖サミットが始まった。特別機を擁して大歓迎の新千歳空港に降り立つ各国首脳の姿と、人目を避けて渡ってくる丹頂鶴の姿とを重ねてみた。
颯爽と雲の上を飛ぶ丹頂鶴の姿を想像して、国と国を結ぶ役割にもこういう形もあるんだなあと思った。
2008.6.30
先日、ハルピンで昼食時に餃子を頼むと一緒に白いスープが出てきた。
餃子のゆで汁かと聞くと、うなずいてこんな言葉を教えてくれた。
「元湯化元食」
意味は、「ゆでたものを食べた後はそのゆで汁を飲むと消化がいい」という。日本でそばを食べた後のそば湯を思い出す。関連があるのか。
スパゲティを作るときも、ゆで汁で最終加減をするとおいしい。これは意味が違うか。いずれにせよ相性がいいのだと思う。
“自然界のものを加熱して、一時的に別れても、またひとつになったら人にやさしい。”
こんなことを連想して、自然界のもすべてを味方に付けた思いになった。実際、この席で紹介された中国人も紹介してくれた中国人も、別々の時期に、私の故郷・浜松に住んでいたことがあると聞いて、大いに話が盛り上がり食も進んだ。
白いスープの効用を試すには十分すぎるほどだった。
2008.6.6
雨模様の朝は、自転車ではなくバスで通勤する。
今朝バス停に行ってみると、時々一緒になるおじいさんがバスを待っていた。実はこのおじいさんは戦友なのである。
昨年の今ごろ、同じようにバス停に行くと、このおじいさんに烏が襲いかかり頭を突っつかれて、帽子が飛んでしまったところに出くわした。それを追い払った私にも襲い掛かってきて、同じように頭をつつかれてしまったのだ。
区に苦情を申し入れると、隣接する代々木公園に住み着いている烏が、ちょうど子育て中で警戒心が強く、人間にも危害を加えることがあるとのこと。他にも苦情が寄せられていたらしく、数日後に注意書きが木に貼り付けられていた。
それ以来何度となくお会いし、一言二言ことばを交わす程度なのだが何か親近感がある。
何故だろう。実は、田舎の父に良く似ている。背格好や雰囲気が。バスに乗ってから、ひとりでに顔がほころんでいるのを感じた。日がさしてきた。
2008.5.28
5月12日に中国四川で大地震が発生し、すでに死者6万7千余人、行方不明2万7千余人と報道されている。心よりお悔やみ申し上げます。
この日以来、中国の主だった機関のホームページのトップのヘッダーエリアは灰色に塗り替えられ、哀悼の意を表している。
さらに、最近では連日のように「宝貝別哭」という全国哀悼日献歌が流されている。
「宝貝別哭」とは、直訳すると「愛しい子供たちよ、泣かないで!」という意味だそうだ。
両親や親戚が被害にあった、特に子供たち向けに「今こそ気を強く持ってがんばれ!」と歌っている。
当組合の研修生や送り出し機関の関係者には直接の被害がなかったと聞いているが、同国民としてさぞかし心が痛んでいることだろう。
私も彼らに言ってあげたい。「研修生たちよ、気を強く持ってがんばれ!」
2008.4.18
新宿の中心を自転車で走る。
凄くかっこいい服装をしている人がいる。サラリーマン風の人もいる。最近では中国語もあちこちで飛び交っている。
でも、自転車でサッと通り過ぎてしまえばみんな同じに見える。新宿は日本で一番と言ってもいいほどのにぎやかな街だ。そこを自転車で走っている。
沢山の顔が見える。
頑張っているのが見える。
自然に私の顔がほころんでいる。
みんな好きだ。
大切な人だ。
才能の塊だ。
感じていても感じていなくてもみんな才能を持っている。